ヒロの日記

備忘録
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腰痛の捉え方の変化
 
腰痛の病態に対する

概念の変化




1.「解剖学的損傷」から「生物・心理・社会的疼痛症候群」へ

2.心理・社会的因子との関係

3.腰痛と外傷との関係

4.腰痛に対する多元的評価の必要性



1.「解剖学的損傷」から「生物・心理・社会的疼痛症候群」へ

 近年、腰痛のとらえ方が変化してきている。
 従来は、腰痛を椎間板の損傷や障害に代表される生物学的な「脊椎障害」ととらえ、画像検査を代表とする形態学的異常の検索が病態把握に重要な役割を果たし、その概念に基づいて診断や治療が組み立てられていた。
 しかし、このような概念に基づいたプライマリ・ケアの段階における治療は、これまでのところ著しい治療効果を得ることができなかった。
 これを受けて「形態・機能障害」をとらえなおすという新しい考え方が出現してきた。
 つまり、椎間板の損傷・障害という解剖学的、生理学的病態が原因とする考え方から、生物学的因子のみならず、多様な因子、特に心理的、社会的因子が今まで認識されていた以上に早期から、腰痛の憎悪や遷延化に深く関与していることが指摘されている。
 大規模な臨床疫学研究の結果、腰痛は生涯にわたり再発を繰り返すことが少なくないということも明らかになった。
 また、従来の、腰痛は自己限定性(Self-limited)で、予後良好であるという認識も修正が必要である。
 さらに、腰痛病態の二極化も挙げられる。
 外来患者の大部分を占めている非特異的腰痛(腰部に起因する腰痛であるが、神経症状や重篤な基礎疾患外傷を有していない)を、特異的腰痛(椎間板ヘルニアや腰部関中間狭窄など腰部に起因する神経症状を有している)や重篤な脊椎疾患や外傷(感染・腫瘍・骨折など)とは区別して対応することが望ましい。



2.心理・社会的因子との関係

 腰痛を「生物・心理・社会的疼痛症候群」としてとらえようとする新しい概念にも、問題点が残されている。
 心理・社会的問題を的確に評価するスクリーニング手段がないという点と、この問題に応じた適切な治療法がないという点である。この点について着目されるようになったのも最近である。しかし、このような新しい概念を診療に受け入れることで、解決への方向性が見えてくることが期待できる。



3.腰痛と外傷との関係

 医療従事者や一般の人々は、急性腰痛は、外傷により引き起こされるという認識がされている。腰痛の引き金となる動作や損傷、例えば、腰をひねった、物を挙上した、滑って転倒したなどが外傷と考えられている。
 しかし、この外傷説を疑問視する報告が数多く散見されるようになった。
 労災補償、保険金の請求、あるいは賠償に関与していない患者の非利益群と、なんらかの経済的利益を得た患者の利益群を比較した研究では、腰痛を誘発した動作の有無に差が認められている。
 非利益群では、腰痛を誘発した動作を思いつくことができたのは約1/3であった。
 利益群では、90%以上の患者が腰痛の原因を特定している。
 また、腰痛の自然発症率の研究では軽作業労働者のうち、経済的利益をもたらさない非利益群では、利益群の4倍の自然発症率である。
 一方、重労働者間では、非利益群では利益群と比較して9倍の自然発症率である。
 以上の事実は、
腰痛発生が外傷と

直結しているわけではない

ことを示唆している。



4.腰痛に対する多元的評価の必要性

 腰痛は患者本人だけでなく、家族や友人の活動を妨げることにもなる。
 本人だけではなく、社会への影響という視点から腰痛の評価の新しい指標として、患者の視点に立った主観的なアウトカム指標(患者立脚アウトカム)が取り上げられるようになってきた。
 代表的な指標としては疼痛(Symptom)、機能状態(Functional status)、包括的健康状態(Generic health status)、能力低下(Disability)、および患者の満足度が挙げられる。
 腰痛は、日常生活に悪影響を及ぼす度合いが強く、腰痛関連機能障害が惹起される。
 さらに、患者のQOLが低下する。
 腰痛患者の総合健康感では、疼痛の程度よりもむしろ日常生活の機能状態と強い関連が認められた。
 腰痛患者の治療にあたっては、単に痛みの軽減だけではなく、患者の生活上の障害という視点を持った医療体制の構築が重要である。

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