ヒロの日記

備忘録
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慢性腰痛の診療ガイドライン
 
 EBMにより、腰痛に対する従来の治療法が見直されている。
 その結果、厳密な科学的検証を経た認められている腰痛に対する治療法は、それほど多くないことが判明してきている。
 それを踏まえ、診療ガイドラインが発刊された。
 このガイドラインは60〜90%の患者さんに当てはまる原則をまとめた内容から構成されている。
 100%の患者さんに当てはまるわけではなく、60〜90%の患者さんに当てはまるに過ぎないということを念頭に置く必要があり、過大評価しないことも大切である。

慢性腰痛の診療ガイドライン

慢性腰痛とは12週またはそれ以上に腰痛が存在しているものである。

ヨーロッパのガイドラインによる診断に対する構想は、

1.患者の把握:経過と理学所見を把握する

2.画像検査:X線、CT、MRI、SPECT、椎間板造影、椎間関節や神経ブロックで人食い的慢性腰痛を診断することを勧めない。

3.筋電図検査:非特異的慢性腰痛の診断に筋電図検査を勧めない。

4.予後因子:労働や精神的悩み、うつ状態などの患者の背景を把握する。

治療に対する構想は

1.保存療法:認知行動療法、管理下の運動療法、教育的指導、腰痛学校、短期のマニピュレーションを行う。しかし、理学療法は勧めない(!?)。

2.薬物療法:非ステロイド性消炎鎮痛薬やオピオイドの短期間投与する。症状に応じて抗うつ薬、筋弛緩薬、湿布布を使用する。

3.侵襲的手技:鍼、ブロック(硬膜外、椎間間接内、神経)、トリガーポイント注射、椎間板焼扼、および脊髄刺激は勧めない。
非特異的慢性腰痛には手術は勧めない。

 以上のように構想が示されているが、コメントが添付されている。

 コメントの主な内容は、
 急性腰痛と比較して、慢性腰痛に対する診療ガイドラインは少ない。
 慢性腰痛は臨床的疾患や診断ではなく、多様な損傷、慢性度を持つ患者の1つの症状である。
 ほとんどの治療法は限定的な効果しかない。
 1つの治療法で効果のあるものはほとんどない。
 もっとも有効なのは治療や運動を推奨する認知行動療法である。

 
01:08 | 体幹について | comments(0) | - | pookmark
腰痛の捉え方の変化
 
腰痛の病態に対する

概念の変化




1.「解剖学的損傷」から「生物・心理・社会的疼痛症候群」へ

2.心理・社会的因子との関係

3.腰痛と外傷との関係

4.腰痛に対する多元的評価の必要性



1.「解剖学的損傷」から「生物・心理・社会的疼痛症候群」へ

 近年、腰痛のとらえ方が変化してきている。
 従来は、腰痛を椎間板の損傷や障害に代表される生物学的な「脊椎障害」ととらえ、画像検査を代表とする形態学的異常の検索が病態把握に重要な役割を果たし、その概念に基づいて診断や治療が組み立てられていた。
 しかし、このような概念に基づいたプライマリ・ケアの段階における治療は、これまでのところ著しい治療効果を得ることができなかった。
 これを受けて「形態・機能障害」をとらえなおすという新しい考え方が出現してきた。
 つまり、椎間板の損傷・障害という解剖学的、生理学的病態が原因とする考え方から、生物学的因子のみならず、多様な因子、特に心理的、社会的因子が今まで認識されていた以上に早期から、腰痛の憎悪や遷延化に深く関与していることが指摘されている。
 大規模な臨床疫学研究の結果、腰痛は生涯にわたり再発を繰り返すことが少なくないということも明らかになった。
 また、従来の、腰痛は自己限定性(Self-limited)で、予後良好であるという認識も修正が必要である。
 さらに、腰痛病態の二極化も挙げられる。
 外来患者の大部分を占めている非特異的腰痛(腰部に起因する腰痛であるが、神経症状や重篤な基礎疾患外傷を有していない)を、特異的腰痛(椎間板ヘルニアや腰部関中間狭窄など腰部に起因する神経症状を有している)や重篤な脊椎疾患や外傷(感染・腫瘍・骨折など)とは区別して対応することが望ましい。



2.心理・社会的因子との関係

 腰痛を「生物・心理・社会的疼痛症候群」としてとらえようとする新しい概念にも、問題点が残されている。
 心理・社会的問題を的確に評価するスクリーニング手段がないという点と、この問題に応じた適切な治療法がないという点である。この点について着目されるようになったのも最近である。しかし、このような新しい概念を診療に受け入れることで、解決への方向性が見えてくることが期待できる。



3.腰痛と外傷との関係

 医療従事者や一般の人々は、急性腰痛は、外傷により引き起こされるという認識がされている。腰痛の引き金となる動作や損傷、例えば、腰をひねった、物を挙上した、滑って転倒したなどが外傷と考えられている。
 しかし、この外傷説を疑問視する報告が数多く散見されるようになった。
 労災補償、保険金の請求、あるいは賠償に関与していない患者の非利益群と、なんらかの経済的利益を得た患者の利益群を比較した研究では、腰痛を誘発した動作の有無に差が認められている。
 非利益群では、腰痛を誘発した動作を思いつくことができたのは約1/3であった。
 利益群では、90%以上の患者が腰痛の原因を特定している。
 また、腰痛の自然発症率の研究では軽作業労働者のうち、経済的利益をもたらさない非利益群では、利益群の4倍の自然発症率である。
 一方、重労働者間では、非利益群では利益群と比較して9倍の自然発症率である。
 以上の事実は、
腰痛発生が外傷と

直結しているわけではない

ことを示唆している。



4.腰痛に対する多元的評価の必要性

 腰痛は患者本人だけでなく、家族や友人の活動を妨げることにもなる。
 本人だけではなく、社会への影響という視点から腰痛の評価の新しい指標として、患者の視点に立った主観的なアウトカム指標(患者立脚アウトカム)が取り上げられるようになってきた。
 代表的な指標としては疼痛(Symptom)、機能状態(Functional status)、包括的健康状態(Generic health status)、能力低下(Disability)、および患者の満足度が挙げられる。
 腰痛は、日常生活に悪影響を及ぼす度合いが強く、腰痛関連機能障害が惹起される。
 さらに、患者のQOLが低下する。
 腰痛患者の総合健康感では、疼痛の程度よりもむしろ日常生活の機能状態と強い関連が認められた。
 腰痛患者の治療にあたっては、単に痛みの軽減だけではなく、患者の生活上の障害という視点を持った医療体制の構築が重要である。

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腰痛の定義
 

腰痛の定義

 腰痛という言葉は症状であり、疾患名ではない。

 それゆえに、あらゆる疾患を持つ患者が腰痛を主訴として、外来を受診する可能性がある。

 さらに、「腰」の部位を示す範囲や腰痛の内容が、個人や国によっても異なり、これらも腰痛の診療に混乱をもたらしている理由である。

 わが国の1ヶ月の腰痛の有病率は、
  20歳代 男性29% 女性22%
  30〜60歳代は年齢や性別にかかわらず約30%、
  70歳代 男性20% 女性47%

 腰痛は、原因別に
  脊椎性、神経性(脊椎の原因)
  内臓性、血管性心因性(脊椎以外の原因)
 に分類されている。

 脊椎性腰痛は、脊椎やその関連組織に由来する疼痛である。
 神経性腰痛は、腰神経由来の疼痛である。
 内臓性腰痛は、内臓疾患によって腰痛が生じる。
           この疼痛は活動によって悪化せず、また安静によって軽減しない
 血管性腰痛は、動脈瘤や抹消血管性疾患によって腰痛または坐骨神経痛様の症状を呈する。
 心因性腰痛は、非器質的腰痛と呼ばれ、器質的変化が軽度にもかかわらず、
           腰痛の発生や病状の進行に対しての心理的・社会的因子
           深い関与が疑われる腰痛である。

 腰痛は病態別に、
  非特異的腰痛:腰部に起因する腰痛であるが、神経症状や重篤な基礎疾患を有していない
  神経性腰痛  :椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄などの腰部に起因する神経症状を有している
  非機械的腰痛:腫瘍、感染、炎症
  内臓疾患   :泌尿器、消火器、婦人科疾患などに起因する腰痛
 に分類される。

 退行性変化以外の明らかな器質的変化に基づく異常所見が画像や血液検査で認められない腰痛は、非特異的腰痛と呼ばれている。これが、”いわゆる腰痛症”である。



腰痛全体の70%は、

明らかな原因のない

非特異的腰痛である。

 腰痛症の正確な診断基準が存在しないため、原因疾患を除外することによって診断される。

 腰痛の経過により、腰痛は急性慢性に分類される。
 急性腰痛とは、
  90%〜95%は3ヶ月以内に自然治癒し、
  職場や日常生活に復帰できる腰痛のことである。
 慢性腰痛
  急性腰痛における通常の治癒経過に要する妥当な時間を超えて、
  なおも持続または憎悪と緩解を繰り返し、3ヶ月以上続く腰痛と定義されている
 
 慢性腰痛
  器質的変化を有する腰痛
  器質的変化を有さない腰痛
  両者が混在した腰痛
 の3群に分類される。

 慢性腰痛患者の80%は抑うつ状態があるといわれている。
 発症の原因となった組織障害が不可逆的変化を引き起こし、心理的・社会的因子による影響を深く受けており、治癒が困難な状態である。



 以上のごとく、腰痛は様々な分類によってとらえる視点が異なってくる状態を示していることがわかる。

22:35 | 体幹について | comments(3) | - | pookmark

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